第2話  JAMSTECへの道 前編

その1  東京地検特捜部か、ノーベル賞か

前回までの第1話では、もはやほのかな加齢臭とともに哀愁を漂わせつつある中年中間管理職のワタクシ高井研が、残り少ない現役研究者としての情熱を燃焼させてスス煙など巻き散らかしている、そんな有人潜水艇「しんかい6500」での深海調査の様子を紹介しました。

この2009年のインド洋での潜航調査は、じつは、ワタクシ高井研にとって記念すべき「たぶん・・・・・・35回目くらい」の有人潜水艇による潜航調査でした。

そのぐらいの回数で、普通の人がめったに行けないディープ・グランブルーの世界に潜って研究をさせてもらってます。シアワセモノです。耳にする噂では、どうもこの回数は、JAMSTECの深海研究調査が「公募制」になってからの最多記録のようです。さらにシアワセモノです。

そのすべての潜航調査で深海熱水に潜っています。しかも、すべての潜航調査で、深海の海底から熱水が噴いている場面に遭遇しています。「しんかい6500」にチョットした不具合が起きて、緊急浮上した時ですら、深海熱水をちゃんと目に焼き付けてから浮上しているのですね。うーん、運がいいのか、あるいは、ちゃんと美味しいとこを狙って潜っているのか。たぶんどっちもです。

かなり煤けた記憶を呼び起こせば、ワタクシ高井研が有人潜水艇による潜航調査を初めて経験したのは、1998年の初春、沖縄トラフ伊平屋北フィールドだったと思います。あれは、京都大学農学研究科で博士号をとってJAMSTECにやってきて半年も経たないピチピチのフレッシュマン(死語)時代でした。

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