特別番外編  「しんかい6500」、震源域に潜る

その2  端的に言うと「ちょっとビビッていた」

時は2011年8月5日。
未だ余震の続く東北地方太平洋沖地震の最大海底変動域である日本海溝水深3600mの海底へ、「しんかい6500」がおもむく第1257回潜航の当日。潜航するのはパイロット「頼れる」チバさん、コパイロット「アフロ」イシカワさん、そしてワタクシ。これは、決して公に語られることがない、潜航の裏側にある真実の物語なのだ・・・・・・。

「しんかい6500」第1257回潜航の掲示板。船内に持ち込むデジタルカメラの一枚目はこの写真になるのだ。
(撮影:高井研)

「しんかい6500」による東北地方太平洋沖地震後の日本海溝潜航調査は、5日目を迎えていた。

最初の3日間は、すでに深海曳航カメラで調査の安全が確認されていた日本海溝三陸沖水深5300mの通称「しょこたん」サイトで調査が行われた。

「しょこたん」サイトって何それ? と訝るヒトも多いかもしれない。「しょこたん」サイトというのは、2009年8月25日にタレントの「しょこたん=中川翔子」がテレビ番組収録のために「しんかい6500」で潜航した、オタク情緒溢れる場所として知られている。

そこは日本海溝の陸側斜面に当たり、海底下から硫化水素がシズシズと漏れ出ずる「冷湧水域」と呼ばれる場である(海底下の断層にそって、ゆっくりと上昇してきたメタンを含んだ汁と、海水中の硫酸イオンとが、微生物の働きによって消費され、代わりに硫化水素を生みだす)

「青春を深海に賭けて」最新記事

バックナンバー一覧へ