第3話  JAMSTECへの道 後編

その4  タカイ君、騙されてるんちゃうやろな?

前回まで:米国で開催された国際学会でJAMSTECのカトーさんに会い、あれよあれよのうちに翌年からJAMSTECで働く話になった高井研。狐につままれているような気分のまま、まずは博士論文を仕上げようと帰国の途についた。


京都大学の研究室に戻ると早速、左子先生にコトの成り行きを説明した。左子先生は開口一番、「JAMSTEC? あそこ行きたいんか? でもタカイ君、騙されてるんちゃうやろな?」と言った。ボクは「またまた。嫉妬しちゃってー。自分の学生が外の世界に飛び出そうというのに、もう少し喜んでくれてもいいのになあ」なんて心の中で思っていたりした。

そして普通は、これでスンナリ、JAMSTECへの道が完結したと思うでしょう。ところが、この左子先生の心配が的中するんですねぇ。

激動の国際学会から数カ月が経っていた。ボクは博士論文の最終追い込みに忙しくしていた。そして、その忙しさの中でも、JAMSTECの話、どうなっているのだろうかと気にはかけながら、何となく自分から連絡するのがためらわれていた。

それは、自分の中で本当にJAMSTECに行きたいのだろうかという疑問が解決できずにいたからだった。あのとき、急激な自分の研究テーマの盛り上がりで思わず、口に出した言葉が、あれよあれよと言う間に事態を急転させたことに自分の心が追いついていなかったのだ。それともう一つ気にかかるのが、研究の中身について、深い議論を全くしていなかったことだった。

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