第4話  JAMSTEC新人ポスドクびんびん物語

その4  最後の「むかつくんですよ!」はよく覚えている

前回まで:JAMSTECにやってくるなり放置され、数少ない知り合いの研究者には「今から3年後の就職先を探しとけよ」と言われ、高井さんは怒りと寂しさと危機感を募らせていた。早急に研究を立ち上げねば。びんびんきてます!

これが今は亡き「かいこう」。当時JAMSTECが誇った最新鋭1万1000m級無人潜水機だ。太平洋の藻屑と消えた「かいこう」を惜しむ声は多いが、今の政府・財務省はいらないみたいね。
(c)JAMSTEC

さて、そもそもボクがJAMSTECにやってきたのは、既に前話でも書いたように「世界の誰よりも早く深海熱水の未知の微生物の多様性を明らかにしたい」という具体的な研究テーマがあったからだ。

早速このテーマをブイブイやってやるぜ、と意気込んだものの、ボクはある事実を知って愕然とした。

深海熱水環境の未知の微生物の多様性を明らかにするためには、有人潜水艇か無人潜水機のいずれかによって深海熱水域に潜航しなければならない。自分の目でその環境を良く把握し、必要な環境条件データを測定したうえで、いくつもの異なる環境からサンプルを採取。その新鮮なサンプルを用いて、培養による方法や環境中から直接DNAを取り出して調べる必要がある。そうやってはじめて、微生物群集の多様性や組成・機能がわかるのだ。

つまり研究の第1歩は、有人潜水艇か無人潜水機のいずれかによって深海熱水域を潜航調査すること、だ。実は深海潜航調査というのは、毎年1回、潜航調査計画書を提出して次年度の潜航調査計画が決まる。ボクはJAMSTECに来るなり、「一体いつ深海熱水域に潜れるんですかね〜」と聞いたわけだが、その時には既に次年度(1998年度)の申請が終わっていた。

ズッッコーン。
JAMSTECに来てから1年半は、サンプルも手に入らないなんてー。
思てたんとちがうー!

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