第5話  地球微生物学よこんにちは

その4  一子相伝の秘奥義「バクテリア・アーキア一本釣り法」

前回まで:JAMSTECの若き研究者、高井研さんは、尊敬する微生物学者の一人で「バカにバカ、くだらない研究にくだらない」と言ってしまう好戦的な性格のカール・シュテッターのもとへ留学することを計画。まずはドイツの研究室に訪問することになりました。

フランスで催されたある国際学会の帰り道に、ボクはドイツのレーゲンスブルク大学のカール・シュテッターの研究室を訪ねることにした。

ボクがJAMSTECに来てからやった「深海熱水環境における始源的アーキアを含む微生物の驚くべき多様性」については既に、別の国際会議で発表しており、そのときにカール・シュテッターからは「やるじゃねえか、テメエ。ウチ来る?」というお褒めの言葉は頂戴していた。

ちょうどそのころ、カール・シュテッターの研究室では、「光ピンセット顕微鏡を用いたバクテリア・アーキア一本釣り法」という一子相伝の秘奥義が開発されていた。

この光ピンセット顕微鏡というのは非常に高度な物理現象なので説明するのは甚だ難しいのだが、顕微鏡の視野に絞りに絞ったレーザー光を当てるとその焦点のわずか下に吸引力が生まれ、極小の物体(DNAのような巨大な分子や微生物細胞)を捕獲できる、というものだ。

捕獲した1匹の微生物を、捕捉したまま移動させ、お好みの極小ガラスチップのような培養スペースに誘導し強制的に分離する、というのがカツオ一本釣りっぽいでしょ。

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