第4回 苦闘! 温度計測プロジェクト(前編)

深海の様子を伝える水中カメラ映像を凝視するサルハシ船上代表(隊長)。
写真提供:JAMSTEC/IODP(写真クリックで拡大)

「逃げ出したい、かも・・・」

 正直に告白すると、わたしは、この現場で次々に起こる事件を目撃するのが、もうつらくて仕方がありません。海底下という見えない相手と対峙する人々の緊張感、飛び交う視線、心の葛藤を言葉にするのはとても難しいのですが、なんとかお伝えしたいと思います。

 繰り返しになりますが、今回の「ちきゅう」航海の最終目的は「震源断層の温度計測」と「断層からの岩石サンプルの採取」の二つです。なかでも温度計測は、あの地震で海底下の断層がどのように動いたのかを知るのに欠かせない情報です。

 方法は、簡単に言うと、海底に穴を掘ってそこに温度計を設置してくればよいわけです。が、実際にやることはそう簡単ではありません。まず、掘削と温度計設置という二つの作業に入る前段階として、掘削ドリルの入り口となるウェルヘッドをあらかじめ設けておく必要があります。そしてこれら三つの作業を行うために、毎回、海上から水深7000メートルの海底へパイプを上げ下ろししなければならないのです。それはもはや、蜘蛛の糸を垂らすお釈迦様のようなシチュエーション。いくつもの関門が待ち構えているのです。

 今回は、そんな深海7000メートルの掘削・温度計測に挑む人々の苦闘をご紹介します。

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