第6話  JAMSTECの拳―天帝編―

その4  ボクの残り少ない青春をすべて、深海の研究に賭けよう

前回まで:2度目のアメリカ留学で『地球微生物学』の魅力に目覚め、海の研究への熱い思いを再認識した高井さん。第6話では、これまでの単独猛進モードから一転、愉快な仲間たちとともに深海生命の謎に挑みます。時は2000年、30歳の春からスタートです。どうぞ!

「JAMSTECに帰ったら、ボクの残り少ない青春をすべて、大好きな海の、深海の、研究に賭けよう」。そう誓ったボクは、2000年の春に再びJAMSTECに戻ってきた。

実はアメリカ滞在中に、もう1年程度スパイ留学生活をしてはどうか、という案もかなりの実現性をもって降って湧いたこともあったのだけれど、どうやらJAMSTECに地下生命圏研究のグループを2000年10月に発足させたいという上層部の思惑があり、それに間に合うように「帰国すべし」というギョーム命令が下ったようだった。

ボクはすでに自分でもびっくりするぐらいに、とても深く海の研究に魅せられていることに気付いてしまっていたので、「所詮、組織と言うのは理不尽なモノよ。だがやはり、ふっ、この天才の力がどうしても必要なようだな!」となるべく恩着せがましくふてぶてしく帰国するかのように振る舞いながら、実は内心では「シメシメ、ムフムフ」とけっこう小躍りしながら勇み足で帰ってきたのだった。

そして帰国したボクには、当面考えなければならない懸念事項が二つあった。

一つは2000年の9月末で、科学技術特別研究員としての3年間の期限が満期を迎えること、つまり、今のJAMSTEC居候生活の後をどうするか、ということだった。

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