第6話  JAMSTECの拳―天帝編―

その8  無我夢中のどん欲無節操ゴロツキ研究集団

前回まで:オールジャパンの深海調査研究計画「アーキアンパーク計画」に宣戦布告した、高井さん率いるJAMSTECチーム。その大きな野望の一つは、「深海の海底下には、太古の微生物生態系が残されているかも」というロマン先行仮説をエレガントな科学仮説として更新することだった。アイデアは、あった。

2002年のインド洋研究航海。1カ月と少しの長くてストレスフルな洋上生活の後、オーストラリア大陸と街の灯りが見えた時、ホントに感動して涙が出そうになったのをよく覚えている。
(提供:高井研)

そのヒントとなるアイデアは既にあった。
前章で少し紹介した「スライム仮説」だ。

それは、「地殻内に太陽光から完全に独立し、水素によって支えられた「地球を食べる」微生物生態系(地殻内独立栄養微生物生態系:スライム)があって、それが最古の生態系ではないか?」とする仮説で、パシフィックノースウエスト国立研究所のトッド・スティーブンスとジム・マッキンリーが提唱したものだ。

ボクは深海熱水域の海底下環境にこそ、そんな微生物生態系(スライム)の超好熱性(ハイパーサーモフィリック)バージョン、つまり「ハイパースライム」が存在するに違いないと強く思うようになっていたんだ。もちろんこの仮説が完成するのは、ずいぶん後の話だった。

ちょっと解説が長くなってしまったけれども、こんな戦略の下(「その7 オールジャパンをぎゃふんと言わせる6つの策略」参照)、ボク達の「ひとりアーキアンパーク計画」の怒濤の進撃が始まった。

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