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取材ノート
イエローストーン国立公園

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筆者の取材ノートから
アレクサンドラ・フラー

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「取材現場から」は、筆者と写真家へのインタビューを編集したものです。
本誌の記事と一部が違うことがあります。

写真=Peg Bonner

取材現場から 取材現場から PHOTO
イエローストーン国立公園

筆者の取材ノート
アレクサンドラ・フラー
Best 最高の経験

 米国生まれでも、育ちでもない私は、イエローストーン国立公園の記事を書く自信がなく、最初は一行も書けなかった。そんな折り、3月のある風の冷たい朝、馬に餌をやるため外に出たところ、1羽のアオサギが草地から飛び立っていくのを目にした。その時突然、目の前の土地のすばらしさが理解できた。ここには、毎年春が訪れるたびに生まれ変わる世界がある。そして私は、この美しく変化する世界の真っ只中に暮らしているのだ。
 それまでこの土地の奥深さをどう表現すべきか悩んでいたが、コンピューターの前に座って文章を書き始めてみると、自分が現にその世界に暮らしていることを実感できた。するとこの世界のかけがえのなさを、正確に、じっくりと時間をかけて、客観的に考えられるようになった。この公園について書くのに、もう外に出る必要はなくなった。


Worst 最悪の体験

 寒さのきびしい日に、生物学者のジョエル・バーガーとグランド・ティートン国立公園を歩いた。バーガーの目的は、雌のヘラジカの糞の採取。私たちは雪原を歩き続けた。ヘラジカを見つけると、突然バーガーがカラスの鳴き声や、オオカミの遠ぼえをまねた。ヘラジカは、その声を聞くと、うんざりしたような表情をうかべて立ち去った。糞を採取するには、こうして追い立てるのが一番だ。
 真冬の公園は静まり返り、音ははるか遠くまで響き渡る。道路に戻ったところで出会った2人の旅行者と友人の生物学者は、大声を上げてヘラジカを追い立てていた私たちにあきれていた。つい1週間ほど前、私はこの生物学者から、旅行者が野生動物たちをからかって、公園の楽しみを台なしにしているという話を聞いたばかりだった。友人の生物学者は私たちの行動の意味を正しく理解してくれていたが、旅行者のほうはあきれていた。


Quirkiest 最も奇妙な思い出

 ジョエル・バーガーとは5年前に、ヘラジカがきっかけで、偶然知り合った。2月のある寒い朝、グランド・ティートン国立公園の山荘から、幼い息子と外出し、凍った森の中の道を歩いた時のこと。そこへ突然、1頭のヘラジカが駆け下りてきた。その後から、不審な男が無線機のアンテナを振り立てて追い掛けてくる。私の背中では息子が眠っていた。私は襲われないように雪の道を避け、斜面を駆け上って、その不審人物をにらみつけた。すると、相手はジョエル・バーガーと名乗る。その名を聞いてびっくり。バーガーは夫人とともにアフリカのナミビアでサイの研究に取り組んでいた人物で、私は夫妻の著書を読んだことがあった。私もアフリカからやってきて、研究の苦労がわかるだけに、彼らの仕事に対する努力と情熱に深い敬意を抱いていた。









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